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JB Pressに掲載されました  しっかり人生設計しているはずの若者でも忘れがちな5つのサバイバルメソッド

しっかり人生設計しているはずの若者でも忘れがちな5つのサバイバルメソッド
人生にとって仕事とは何だ? 最も「得する生き方」を教えよう
2022.5.15(日)
岡村 進

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最近「FIRE」という言葉をよく耳にするようになった。

「日本でもついにFIRE(=解雇)の時代が訪れたのか?」「欧米化が進んできたなぁ」と思ったら、実はこれが若者のあこがれになっているという。驚いてネットで調べてみたら、単に私の勘違いだとわかった。

FIREとは、Financial Independence, Retire Early、すなわち経済的に自立し早期退職することだと知って納得がいった。

●FIREは仕事を充実させるのか

いま勤める会社に過度に依存するのではなく、自分らしい仕事をしたい。そのために経済的な独立を志向する。この考え方は理にかなっている。


しかし、たとえ会社に依存しなくても、「その会社のその仕事が大好きだ!」と見つける力も意外と有効なサバイバル術だったりする。

そこで、若者が可能性と選択肢を増やすために、いまどう会社と向き合って行動するべきかを考えてみよう。今回はその5つの処方箋を示したい。

まずは私の経験と現状から、馬車馬のように働いた日々を俯瞰してみる。

●「経済的自立」に加えたいもう一つの視点

自分も20代のころは、とにかく早くたくさん稼いで仕事を辞めたい、プライベートライフを思う存分楽しみたいと思っていたものだ。

とは言え、仕事が100%嫌であったのかと言えば、いま振り返ってみるとそうでもなかったように感じられる。2割ぐらいは自分が成長している手ごたえや喜びがあったのではないか。でも、同じぐらいの割合で顧客に怒られたり、予定通りに仕事が進まずパニックったり、上司の言うことに納得がいかなかったりしたので、「できる限り早く逃れたい!」と思っていたのだろう。

それだけ働いてきたのだから、もう早期退職できるだろうと思われるかもしれないが、現実はそれを許さない。人口が減り株価も上がらないから年金が減額になってしまい、定年は延びていくばかりだ。経済面だけ見れば、落ちていく国で生きるのは、割が悪いなぁと痛感している。

ただ、思いがけずいまだに働いているからといって、不幸かといえばそれも違う。

60代になって昔の同僚や先輩方と話すと、この年になっても社会と接点があって、毎日働きに行く場所があるだけで十分に幸せと口々に言う。年配者の経験談を語らせてもらえば、働き続けるのは経済的理由だけではないのだ。それはワーカホリックだったからでしょう、と切り捨てないでほしい。いまは若手と言われる皆さんだって、年をとるにつれて、実は世の中も、家庭環境も、そして何よりも自分自身が思いがけず変わっていくことを覚えていてほしい。

これからは、マクロの経済環境がどんどん悪化する時代。だからこそ、自分の人生の総合プロデューサーとして生き方の戦略を練ることが、より大事になってきているのだ。

●幸せを最大化する5つのメソッド

もちろん答えは一つではない。

それぞれが納得できる人生を手に入れるために、自身のみならず、共に生きるファミリーの状態や気持ちの変化なども含めて、遠い将来を映画のように画像でイメージしていくのがよい。こうして人生を目標からリアルに逆算することが、いまをいかに生きるべきかのヒントをくれる。

当初は考えてもいなかった人生を歩み、不器用にあがいてきた年配者の成功と失敗を踏まえて、“人生の幸せの面積を最大化する働き方のヒント”を提供したい。

(1)お金とやりがいの関係につき自分の人生哲学を早めに定めておく

日系企業・外資企業・起業を経験し、社会貢献活動を垣間見て思うのは、どこにも青い鳥はいないということ。運不運の差はあるものの、会社を「金を稼ぐ場」と割り切って過ごしてしまうと後で振り返った時の空疎感が想像以上に大きいので要注意だ。

会社の好きなところを見つける姿勢や能力はとても大事。一方で、寄らば大樹と依存しても、この激変の時代、すべての企業で希望退職の憂き目にあうリスクが存在するので、いざとなれば自立を恐れぬ緊張感は失わずにいたい。常に2つの視点から物事を見つめる楕円思考だ。

最近の若手は、仕事とプライベートのバランスのとり方が上手だ。私は、40代後半に外資企業社長になって仕事に没頭しているときに、学生時代以来20年ぶりに児童養護施設の子供と遊ぶ活動に参加した。

本来の自分に舞い戻り、それが人財育成の会社設立の思いを高めた。結婚や子供の独立が早かったので稼ぐ責任が少し減ったことも助けとなった。Financial Independence(経済的自立)には一体いくら必要なのか? その答えはひとそれぞれだが、将来の環境変化まで含めて、お金とやりがいのバランスを真剣に考えることが悔いのない生き方につながると思う。

(2)いまの基準ではなく10年後の基準で働く

かつて、上司にバンバン物を言いすぎて、損をして見える同僚がいた。でも自分が外資に移ってからは、「あいつがここにいたらもっと評価されただろうなぁ」と思うことが多々あった。

過渡期の時代に会社の旧来型基準での評価を求めると、頑張っているにも関わらず、知らないうちに、自身の市場価値を落とすことになる。かといって、「評価なんて気にしない!」と割り切りすぎると唯我独尊となって自身の調整機能を失うことになる。

どこにいても、「この会社や組織は10年後にはどんな人財を評価するようになるのだろうか?」という頭の柔軟な体操が、報われる努力に繋がり、実は一番自身の市場価値を高めることになる。

(3)質問する力を磨く

これから日本企業にもどんどん外国人が勤務するようになる。中途採用組も増えてくるはずだ。異なる価値観を持った人財が集まる企業では、いままで当然と思っていた慣習が劇的に変質していくことだろう。「なぜ?」と聞く姿勢が大事になっていく。

さらにいえば、一回の質問でとどまるのではなく、「なぜ?」「それはなぜ?」「さらになぜ?」と三回は深掘りする習慣と力が、次世代を生き抜く強力な武器にもなる。相手の言っていることが違うなと思った時に、「違う!」というのではなく、「なぜそうなるの?」と心から質問する癖をつけるだけで人間関係も改善する。

●局面を見定める世渡り術

(4)英語を学び使う

これからの日本は人口減少とともに国力が落ちていく可能性が高い。

大企業・中小企業問わず、海外の経営者や企業の影響下に入ることも常態化していくだろう。しかし、恐れる必要はない。むしろ給与があがったり、休みをとりやすくなったり、マネジメントの基本を学ぶ研修があったりと、逆に幸せを感じる人も増えるはずだ。

その時にプレイヤーで終わるか、実力に見合ってマネジメントに重用されるかは、英語を片言でもいいからしゃべれるかどうかにかかっている。

皆さんも、下手な日本語でもしゃべってくれる外国人には親近感と安心感を持つはずだ。語学学習のポイントは、英語テストの点数アップを誇るのではなく、日常で使うこと。海外TVドラマを見たり、英語の小説を読んだり、SNSで知り合った人と英語でコミュニケーションをとったり、とにかく語学は使って初めて自分のものになる。

(5)伝える力を訓練する

かつて日本では無言実行が美徳とされた。しかし、これから大事な人財は、自身の一挙手一投足に説明のつく有言実行のマネジメントだ。転職や副業をするにしても、互いを良く知らない者同士で仕事をする機会が増える。自分の言動の理由につき言語化できない人財は、いくら良いことをしても理解されにくくなる。言語化の習慣は、自身の考えを整理することにも役立ち、無意識のうちに考えがぶれることがなくなるメリットもある。

最近は、プレゼンテーションやコミュニケーションの研修機会も増えてきた。まずは、例えば米国大統領のスピーチ集などを読んでみるだけでも目からうろこの伝達術がみにつくはずだ。日本人は苦手なのではなく、訓練する機会がなかっただけ。経験則上、学びのリターンがとても大きい分野だ。

高度成長期は足元だけを見て一所懸命働けば経済的に恵まれた。

その分プライベートで犠牲にしたことは多い。いまは、ワークライフバランスの改善は素晴らしいが、そのバランスが長期的な時間軸と共に戦略だっているか、いまにも崩れてしまわないか心配でならない。逆算の人生が幸せの面積を極大化する局面だ。是非自分の人生を頭の中で一度映画化してほしい。